親の健康保険の扶養は年収いくらまで? 19〜22歳の「150万円の壁」の判定のしかた
親の勤め先の健康保険に「被扶養者」として入れる年収は、19歳以上23歳未満なら150万円未満です。この記事では、年齢の数え方、年収の見込み方、年の途中で超えそうなときの動き方を説明します。
公開日:2026年10月29日/数字の確認日:2026年10月27日
被扶養者とは、親(被保険者)の健康保険に、自分の保険料を払わずに入れる家族のことです。税金の「扶養控除」とは別の決まりです。自分の年収で判定したいときは、年収の壁チェッカー 学生版もお使いください。
「150万円未満」が使われる人と時期
被扶養者の年収の上限は、年齢によって違います。
- 19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く):150万円未満
- 上記以外(60歳未満):130万円未満
150万円未満が使われるのは、扶養の認定日が2025年10月1日以降の場合です。2025年10月1日より前の期間について、10月1日以降に届け出て認定を受けるときは、130万円未満で判定します。
学生かどうかは、条件に入っていません。年齢だけで決まります。大学生でも、社会人でも、19〜22歳なら同じ基準です。
年齢は「認定日が属する年の12月31日」で数える
年齢は、扶養に入る日(認定日)の時点ではなく、認定日が属する年の12月31日時点で数えます。誕生日の前日に1つ年を取る扱いなので、1月1日生まれの人は12月31日に年齢が上がります。
例として、2026年10月に19歳になる人を考えます。
| 認定日が属する年 | 12月31日時点の年齢 | 年収の基準 |
|---|---|---|
| 2025年 | 18歳 | 130万円未満 |
| 2026年〜2029年 | 19〜22歳 | 150万円未満 |
| 2030年以降(60歳まで) | 23歳以上 | 130万円未満 |
年収は「今後1年間の見込み」で数える
健康保険の扶養は、「これから1年間にいくら稼ぎそうか」で判定します。過去の収入、現在の収入、今後の予定などから見込みを出します。税金のように、過ぎた1年間の実績だけで決まるわけではありません。
賃金には、手当や賞与も含まれます。見込みは、バイトをしている月だけでなく、1年間に直して考えます。
2026年4月からは、労働契約の内容で判定する
2026年4月1日からは、労働条件通知書などに書かれた時給、労働時間、日数から年間の収入見込みを出し、基準額(19〜22歳は150万円)を下回るかどうかで判定する扱いになりました。他に収入が見込まれないときは、原則として被扶養者になれます。同じ家に住んでいる場合は、親(被保険者)の年収の2分の1未満であることなど、別の条件もあわせて必要です。
基準額は、一般の人が130万円、19〜22歳が150万円、60歳以上や一定の障害のある人が180万円です。
残業代の扱い
労働契約に明確な定めがなく、契約の段階では見込みにくい残業代は、年間収入に含めません。たとえば、繁忙期にたまたま増えた残業代がこれにあたります。
一方、固定残業代のように契約で決まっている分は、賃金に含まれます。扶養の認定時点で残業が発生していても、その年度は一時的な収入の変動として扱う、という考え方も示されています。
臨時の収入と、提出する書類
一時的な収入が社会通念上妥当な範囲にとどまる場合は、それだけを理由に扶養の認定を取り消す必要はない、とされています。範囲を大きく超えて基準額を上回る場合は、被扶養者に当たらないものとして扱ってよいとされています。具体的な目安は、健康保険組合ごとに確認してください。
提出を求められる書類は?
日本年金機構の案内では、労働条件通知書、雇用契約書、または勤め先の証明(形式は自由)と、「給与収入のみである」という申立てです。契約の更新や条件の変更があるたびに、書面を求められます。
交通費は含めるのか
交通費を年間収入に含めるかどうかは、健康保険組合などによって扱いが異なる可能性があります。申請の前に、交通費を含めるかどうかを窓口に聞いてください。念のため、交通費を含めた金額でも150万円未満になるかを、試算しておくと安心です。
税金の壁との違い
税金の壁と、健康保険の壁は、数え方が違います。
| 項目 | 税金(親の控除・本人の所得税) | 親の健康保険の扶養 |
|---|---|---|
| 金額の数え方 | 1月から12月に実際に払われたバイト代の合計 | 今後1年間の見込み |
| 年齢の数え方 | 12月31日の時点 | 認定日が属する年の12月31日時点 |
| 19〜22歳の目安 | 親の扶養控除は年収136万円以下、特定親族特別控除は197万円以下(2026年分) | 150万円未満 |
このため、年収150万円の大学生は、税金の控除は満額(63万円)のまま、健康保険の扶養だけが対象外になることがあります。税金の数字は、2026年の年収の壁の解説で金額を比べています。
年の途中で超えそうなとき、外れたとき
超えそうなときにやること
- 契約書や労働条件通知書で、時給、1週間の労働時間、働く日数を確認し、1年分の見込みを計算します。
- 時給が上がった、シフトが増えたなど、見込みが変わったら、親の勤め先に早めに伝えます。
- 基準額に近いときは、交通費や賞与を含めた見込みも出して、窓口で相談します。
税金は12月までの合計で決まるため、残りの月のシフトを減らして調整できます。健康保険は契約内容にもとづく見込みで判定されるため、残りの月のシフトを減らすだけでは調整できないことがあります。この点が税金との大きな違いです。扱いは窓口で確認してください。
扶養から外れたらどうなるか
親の健康保険の被扶養者でなくなると、自分で健康保険に加入する必要があります。主な方法は、住んでいる市区町村で国民健康保険に入ることです。保険料は自治体によって異なるため、この記事には金額を載せません。手続きの期限、必要な書類、いつの時点で外れるかは、親の勤め先、健康保険組合、市区町村に確認してください。
健康保険組合によっては、国の基準に加えて、独自の確認を求めることがあります。加入している協会けんぽや健康保険組合に確かめてください。
106万円の壁との関係と、学生の扱い
「106万円の壁」は、バイト先の社会保険(健康保険と厚生年金)に自分で加入する基準のことです。長く「月額8.8万円以上」という賃金の条件がありましたが、2026年10月1日に撤廃されました。
今は、次の条件で決まります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 学生でないこと
- 従業員51人以上の会社であること(対象の会社は2027年10月から段階的に広がります。細目は日本年金機構の案内で確認してください)
最低賃金以上で週20時間以上働いていれば、賃金の条件も満たす、と厚生労働省は説明しています。
学生は、この短時間労働者の仕組みでは加入の対象外です。ただし、次のような人は学生として扱われず、加入の対象になることがあります。
- 卒業を予定していて、引き続き同じ職場で働くことになっている人
- 休学中の人
- 定時制の課程などに在学している人(通信制も例として挙げられています)
- これらに準ずる人(社会人大学院生など)
夜間の学部に通っている場合の扱いは、勤め先に確かめてください。
また、勤め先の正社員のおよそ4分の3以上の時間・日数で働く場合は、学生でも加入の対象です。バイト先の社会保険に自分で加入するか、親の扶養のままでいられるかは別の確認が必要です。勤め先と健康保険の窓口で相談してください。
根拠にした公式資料
- 日本年金機構 19歳以上23歳未満の被扶養者の収入要件
- 日本年金機構 年金Q&A(年齢を判定する時点)
- 厚生労働省 令和7年7月4日事務連絡 Q&A
- 厚生労働省 令和7年10月1日通知(労働契約内容による判定)
- 厚生労働省 令和7年10月1日事務連絡 Q&A
- 日本年金機構 2025年12月のお知らせ
- 日本年金機構 2026年5月の事業主向けお知らせ
- 日本年金機構 短時間労働者の賃金要件の撤廃(2026年10月)
- 日本年金機構 年金Q&A(学生の扱い)
- 厚生労働省 適用拡大特設サイト
- 厚生労働省 令和6年8月21日通知(学生の扱い)
この記事は、公式資料の内容を学生と親向けにまとめたものです。扶養に入れるかどうかの最終的な判断は、親の勤め先の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)が行います。迷うときは、窓口に問い合わせて確かめてください。